ラースロー/Laszlo
ラースロー/Laszlo
概要
自分の肘を相手に差し出していた初期ラースローの勇姿
比較的初期に追加された, 赤いドルマーニを着た、ハンガリー風の出で立ちの隻眼のサーベル使いである. 開発中の動画では Hajdu という名称で登場し, リリースされてからは Laszlo になっている. たぶんハンガリー語の László から来ているので, 本稿では「ラースロー」と表記している. 開発者の発音はラー「シュ」ローと聞こえるが, たぶん言い間違えかポーランド語なまりだろう.1
初期のバージョンではサバイバルモードで8連勝するまで使用できなかった. セーブデータを初期化するのが面倒なので今はどうなってるのか確認していない.
v2024.8.30 で複数のコマンドが追加され, 特性が大きく変わった.
特性
攻撃動作はどれも優秀だが, いくつかの動作にはバグがあり, かつ防御に適した構えをしていない. 手数が多いので相手に応じた戦い方をすれば強力だろう.
防御姿勢のみ, 少しだけ Cross Cutting Art っぽい. というかゲデオンのあれは何なんだ…
基本攻撃はどれも速さ・範囲・威力に優れている. そのため, 攻撃を当てやすく, なおかつ長剣や斧以外の相手であれば, 打ち合いで押し勝てることが多い. 攻撃範囲が広いため, 思わぬところに攻撃が当たることがあるため, 対戦相手は警戒しなければならない. たとえば, および
はどちらも右下からの斬り上げで, かなり攻撃範囲が広いので腕や頭に当たることもある. その上, 下段攻撃扱いなのか, 相手に下段回避の足引っ込め動作が暴発し, 動きが止まって無防備になった右手に攻撃が当たることがよくある. 基本攻撃動作はどれも変な動きが少ないが,
のみ, 一拍かけて振りかぶってから攻撃するため, カウンターに使う場合はタイミングに注意する必要がある.
移動速度は速めなので間合いの調整がしやすい.
v2024.8.30 までは攻撃手段が少なかったが, 今はいくつも増えており, 連続攻撃技, リーチを詰める突き動作, 下段攻撃などがいくつも増えている. そのため, 間合いを詰める手段, カウンター手段, 左右の回り込み手段どれも豊富で, 様々な状況に対応しやすくなった. 一方で, 全体的に攻撃が大振りなため, ヤン・バラバシ・ヤツェクのような攻撃の速いキャラクターにタイミングに合わせてカウンターを仕掛けるのがやや難しい. また, 攻撃の動作が長すぎたり, 隙が大きすぎて相手のリポストのほうが早いような出すだけ損な禁忌といっていい技が多いため, それらを誤って使わないようにしたい.
追加されたコマンドで使えそうなものには以下がある.
,
はいずれもコマンドがから想像できる通りの素直な動作で使いやすい. だが, 2撃目が溜めがある大振りな攻撃のため, 他のサーベル使いよりも間合いに気をつける必要がある.
は二撃目が突きになっている. リーチも速さも特別優れているわけではないが, 咄嗟に突きを防げるキャラクターは少ないので使いどころは多いだろう.
一方で, 極力使うべきでないコマンドも多く増えた.
は, 攻撃しながら後退し, すぐ切り返しで斬撃のフォントを行う. だが2撃目の前にあからさまな間があるので, CPU以外ひっかかないだろう.
特にロングガード時のコマンドはあからさまなバグらしき動作もある. は以前のバージョンの
の突き動作と同じだが, 相手が動いているとなぜかコマンドを受け付けず別の隙の大きな動作になる. 逆に
は, 名前に反して以前の突き攻撃と同じ動作をする. 他のロングガード時のコマンドで方向キーの入力が必要なものは, 同様に相手が左右移動していると正しく認識せず, 別の大きい攻撃が暴発してしまうので, 使うには注意が必要である.
もうちょっと肘引けよ. 単発の攻撃動作が優れている. 攻撃動作の速いキャラクターの相手はやや苦手だが, それ以外はカウンター主体で戦うと強みを発揮できる.
攻撃動作はどれも優秀だが, 防御に適した構えをしていないため, 使い方には工夫が必要である. 基本攻撃はどれも速さ・範囲・威力に優れている. そのため, 攻撃を当てやすく, なおかつ長剣や斧以外の相手であれば, 打ち合いで押し勝てることが多い. さらに, 通常攻撃と似た動きで太刀筋の異なる攻撃に変化する技が多いため, フェイントとして使える. 特にコンボ3の2撃目が, 変な姿勢に反して威力も速度もあり, パリィに対する追撃として機能しやすい. さらに, ロングガードからほとんど予備動作なしで出せる突き攻撃もある. 一方で, ほとんどの攻撃は腕を大きく振って繰り出されるため, 攻撃の的になりやすい. 加えて, 自動防御時でさえ, 上段に構えている際に腕が無防備になりやすく, デフォルト姿勢と合わせて, 方向の攻撃に弱い2. 代わりに歩行速度が前後左右どの方向にも速く攻撃を回避しやすいため, 自動防御に頼らない戦い方を習得すればかなり強いキャラクターになるだろう. なおステップ移動は距離が短いので活用できる場面があまりない.
防御姿勢のみ, 少しだけ Cross Cutting Art っぽい. というかゲデオンのあれは何なんだ…
それ以外の細かい弱点をいくつか挙げる, 1つはロングガード時のコマンドが1つしかないことである. ほとんど予備動作のない突きは, 斬撃の応酬の合間に出すと相手の意表を突けるが, 実質この突きしかできないため, ロングガード状態で牽制し合うような状況では相手に読まれやすい. ラースローはそのような戦い方を避けるべきだろう. また,
は腕を一旦左上に持ち上げてから振るので, カウンターで使うと一瞬だけ遅れやすい.
コマンド
特性の節でも書いたように, いくつかのコマンドはバグでうまく発動しない. はどうやら実際には使えないようだ.
は名前に反して以前のバージョンの突きと同じ動作になる. それ以外にも, 特にロングガード時のコマンドの方向キーの入力の多くが, キーではなく相手との相対的な移動方向で判定されていると思われる.
名称 | 概要 | コマンド |
---|---|---|
通常時 | ||
Combo 1 |
上段左右 |
|
Combo 2 |
上段右左 |
|
Combo 3 |
下段上段 |
|
Combo 4 |
上段下段 |
|
Combo 5 |
上段下段 |
|
Combo 6 |
下段2連 |
|
Belly Thrust |
中段突き |
|
Wrist Hinge |
前腕をひねった速い連続攻撃 |
|
Up and Thrust |
斬り上げから突き |
|
From The Top |
||
Far Rib Cut |
リーチの長い中段水平斬り, 後退ボタンを押すがむしろ前進する | |
Leg Swipe |
すねの高さを狙った切り払い | |
Left Sidestep Combo |
||
Right Sidestep Combo |
||
Snap Cut |
小手先だけを使った出の速い斬撃 |
|
Comeback |
後退しながら1撃目, 2撃目で突き返す | |
Low Swipe |
下段の広範囲の斬り払い |
|
False Edge Uppercut |
変則的な斬り上げ, 2024.8.30以降使えないのはバグ? |
|
Headgames |
斬り下ろしフェイントからの攻撃 |
|
Retract Leg |
足引っ込め | (相手の下段攻撃に合わせて) + |
Punish |
下段攻撃へのカウンター | (足引っ込め成功時に) |
ロングガード時 - スペース or LT 押しっぱなし | ||
Lunge |
予備動作が少なく読みづらい突き | |
Top Chop |
斬り下ろし | |
Long Wrist Cut |
大きく踏み込んで前腕を使った斬撃 | |
Low Wrist Cut |
遠小手斬りより低い | |
Left Detour |
回り込みながら斬撃 | |
Right Detour |
2024.9.13時点ではフォントが発生する. バグ? | |
共通コマンド | ||
Autoblock |
攻撃しないでいる |
|
Taunt |
|
|
Grab |
|
|
Push |
|
名称 | 概要 | コマンド |
---|---|---|
通常時 | ||
Combo 1 |
上段左右 |
|
Combo 2 |
上段右左 |
|
Combo 3 |
下段上段 |
|
Combo 4 |
上段下段 |
|
Combo 5 |
上段下段 |
|
Combo 6 |
下段2連 |
|
Belly Thrust |
中段突き |
|
Wrist Hinge |
前腕をひねった速い連続攻撃 |
|
Up and Thrust |
斬り上げから突き |
|
From The Top |
||
Far Rib Cut |
リーチの長い中段水平斬り, 後退ボタンを押すがむしろ前進する | |
Leg Swipe |
すねの高さを狙った切り払い | |
Left Sidestep Combo |
||
Right Sidestep Combo |
||
Snap Cut |
小手先だけを使った出の速い斬撃 |
|
Comeback |
後退しながら1撃目, 2撃目で突き返す | |
Low Swipe |
下段の広範囲の斬り払い |
|
False Edge Uppercut |
変則的な斬り上げ, 2024.8.30以降使えないのはバグ? |
|
Headgames |
斬り下ろしフェイントからの攻撃 |
|
Retract Leg |
足引っ込め | (相手の下段攻撃に合わせて) + |
Punish |
下段攻撃へのカウンター | (足引っ込め成功時に) |
ロングガード時 - スペース or LT 押しっぱなし | ||
Lunge |
予備動作が少なく読みづらい突き | |
Top Chop |
斬り下ろし | |
Long Wrist Cut |
大きく踏み込んで前腕を使った斬撃 | |
Low Wrist Cut |
遠小手斬りより低い | |
Left Detour |
回り込みながら斬撃 | |
Right Detour |
2024.9.13時点ではフォントが発生する. バグ? | |
共通コマンド | ||
Autoblock |
攻撃しないでいる |
|
Taunt |
|
|
Grab |
|
|
Push |
|
名称 | 概要 | コマンド |
---|---|---|
通常時 | ||
Combo 1 |
上段左右 |
|
Combo 2 |
上段右左 |
|
Combo 3 |
下段上段 |
|
Combo 4 |
上段下段 |
|
Combo 5 |
上段下段 |
|
Combo 6 |
下段2連 |
|
Belly Thrust |
中段突き |
|
Wrist Hinge |
前腕をひねった速い連続攻撃 |
|
Up and Thrust |
斬り上げから突き |
|
From The Top |
||
Far Rib Cut |
リーチの長い中段水平斬り, 後退ボタンを押すがむしろ前進する | |
Leg Swipe |
すねの高さを狙った切り払い | |
Left Sidestep Combo |
||
Right Sidestep Combo |
||
Snap Cut |
小手先だけを使った出の速い斬撃 |
|
Comeback |
後退しながら1撃目, 2撃目で突き返す | |
Low Swipe |
下段の広範囲の斬り払い |
|
False Edge Uppercut |
変則的な斬り上げ, 2024.8.30以降使えないのはバグ? |
|
Headgames |
斬り下ろしフェイントからの攻撃 |
|
Retract Leg |
足引っ込め | (相手の下段攻撃に合わせて) + |
Punish |
下段攻撃へのカウンター | (足引っ込め成功時に) |
ロングガード時 - スペース or LT 押しっぱなし | ||
Lunge |
予備動作が少なく読みづらい突き | |
Top Chop |
斬り下ろし | |
Long Wrist Cut |
大きく踏み込んで前腕を使った斬撃 | |
Low Wrist Cut |
遠小手斬りより低い | |
Left Detour |
回り込みながら斬撃 | |
Right Detour |
2024.9.13時点ではフォントが発生する. バグ? | |
共通コマンド | ||
Autoblock |
攻撃しないでいる |
|
Taunt |
|
|
Grab |
|
|
Push |
|
歴史的背景
このキャラクターは “Altin Elma” というハンガリーの武術研究団体の援助を受けて作成されたキャラクターらしい. 彼らはどうやらトランシルバニア公国, つまり近世のオスマン帝国領ハンガリーの軍事や武術に関心を持っているらしい. よってラースローはトルコの影響を受けたハンガリー人剣士, というデザインかもしれない. しかし開発者のコメントを総合すると, 服装はハンガリーのものを参考にしている3. なお, 16世紀末-17世紀前半はポーランドとハンガリーは衣装の流行がかなり似ており, サーベルもポーランドがハンガリーから取り入れたものなので, よほどこだわらないと見た目上の差別化は難しいのではないかと思う.
鞘を握るポーズはある絵画に基づいている.4
開発者によると, 攻撃動作はシェニャフスキのスタイルを参考にしているらしい. すると, 攻撃スタイルはハンガリーやトルコとあんまり関係ない5ということになるが, 実際には, ミクラシェフスキの解説している「ハンガリー式」の動きと似た攻撃が多い気がする.6
ちなみに, 17世紀頃のハンガリー剣術に関する英語で書かれた本を, 私は1つだけ知っている (Schunder, Norbert, と Ferenczi 2015). だが, 当時の記録が少ないため, 多くを隣国の資料に基づいた推測に頼っており, 基本的な動作しか書かれていない. この本で紹介される構えは, ゲーム内のものとさらに異なる.
リリース前に使われていた Haidu という名前は Hajduk からきているのだろう. 元々はトルコ語で野盗や山賊, あるいはそれと大差ない振る舞いをする非正規兵を指す言葉だったが, 16世紀から17世紀にかけてにハンガリー式の歩兵の装備がポーランドに導入された後, 賊のニュアンスが消えて, ハンガリー式の装備の兵士のことを指す名詞として取り入れられた. だが, 実は一次史料ではこの名称が使われているものがないため, 当時の用法にはなかった可能性がある.(Paradowski 2020).
参考文献
脚注
szはハンガリー語とポーランド語どちらでも使われる二重子音で, それぞれ発音が違う. 一方で, ポーランド語には母音の長短の使い分けはない.↩︎
これでもリリース当初に比べると改善されている.↩︎
襟の形なんかが特徴的だが, 3Dモデルの表現の問題なのか襟があまり立っていない. 前身頃の形状も変だ.↩︎
戦闘中に鞘を握るというのはわりといろいろなスタイルで見かける気もする.↩︎
Sieniawski のスタイルは, ハンガリーや中東の影響が比較的強いが, 開発者がそこまで考えていたかはわからない.↩︎
本人に質問したところ, これらの動きは主に Starzewski を参考にしているという回答をもらった.↩︎